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警官の友人から聞いた記憶に残っている話1

友人に警察官をやっているやつがいる。

高校の同級生で、卒業してから警察学校に入った。今はそれなりに昇進しているらしい。詳しい階級は聞いたことがないけど、会うたびに所属が変わっている。

そいつは仕事の話をあまりしない。俺は、怖い話が好きだから警察ならではの事件や人怖系の話はないか酒が入ったらよく聞いていた。

海で死んだ人の体にシャコがいっぱいくっついてるの見てから絶対食べないようになったとか最悪なこと聞いて俺も避けるようになった。。。

それはともかく、

自殺した人の部屋の話とか、徘徊老人の話とか、夜中に通報してくる子供の話とかはよくある話だなーくらいで色々聞いてた。

その中で、一つだけよく覚えている話がある。

そいつがまだ若いころ、ある家からひどい臭いがすると通報があった。

通報したのは近所の住人だった。

古い団地で、一人暮らしの3,40代の女性が住んでいた。

女性は精神的な病気だったらしい。近所付き合いもなく近くに知り合いもいなかったらしい。

最初は、家の中にゴミを溜めているだけだと思われた。

実際、玄関の前までゴミ袋が積んであった。

ただ、近づくと臭いが違ったらしい。

友人は何度か孤独死の現場に行ったことがあった。それと似ていたらしい。

女性は最初、家に入れようとしなかった。

何もない、帰れ、近所の人間が嫌がらせをしている、と繰り返していた。

話している途中で急に黙ったり、後ろを振り返ったりして、落ち着きがなかったらしい。玄関を少し開けたまま、体で隙間を塞ぐように立っていたらしい。

それでも長いこと話をして、最終的には中で話を聞けることになった。

家の中はゴミ屋敷というほどではなかった。

物は多かったが、床は見えていた。食べ物の容器も多少はあったけど、それだけであの臭いになるとは思えなかった。

臭いは奥の和室からしていた。

女は、そこには入らないでくれと言った。

飼っていた動物が死んだだけだとも言ったらしい。

何を飼っていたのか聞くと、そのたびに答えが変わった。猫と言ったり、犬と言ったり、昔のことだから分からないと言ったりした。

和室には大きな旅行バッグが置いてあった。

布製の古いバッグで、上から毛布がかけられていた。

友人は、その毛布をめくったところまでは話した。

中に入っていたのは、かなり小さな遺体だった。

押し入れにも毛布で包まれたものがあった。

床下だったか、押し入れの奥だったか、コンクリートで固められた箱のようなものも見つかったらしい。

最終的に出てきた遺体は五体だった。

全部小さかった。

同じ時期に亡くなったものではなく、かなり古いものも混じっていたという。

女の子供だったのか、どこから連れてきたのか、そのへんは友人も知らないと言った。

知らないというより、話せない感じだった。

俺たちは当然、そんな事件ならニュースになっただろうと聞いた。

友人は少し考えてから、ならなかったと思う、と答えた。

少なくとも全国ニュースにはなっていない。

理由を聞いたら、分からない、とだけ言った。

捜査中に病院へ移されたとか、本人からまともに話が聞けなかったとか、遺体の身元が確認できなかったとか、断片的なことは口にした。

でも、話が途中で止まることが多かった。

誰の子供なのか、自分で産んでそのまま死なせたのか、精神病で知り合いもいなくて人とも会わないのになんで子供ができるのか、誰の子なのか、色々聞いた気がするが、

俺たちも、だんだん聞かなくなった。

そのあと別の話になって、普通に飲んで帰った。

数年後、また同じ友人と飲んだとき、その事件のことを思い出して聞いてみた。

あの女はどうなったのか。

遺体は誰だったのか。

友人は、本当に覚えていないような顔をした。

「そういう家、何軒かあるからな」

それだけ言って、別の話を始めた。

俺が一番嫌だったのは、五体出てきたことより、その言い方だった。

警察の仕事を長くしていると、ああいうことも、特別な話ではなくなっていくらしい。

本当にヤバかったり見聞きした人に対する精神的な影響が大きすぎるような事件はおそらくニュースにならないのだろう。

たまに見る、学生くらいの子が親にも誰にも言えずに人知れず一人で赤ちゃんを産んで...みたいな事件を見るが、そういう話を見るたびに苦しくなる。

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